A・Sさまよりリクエスト・・・
アラヴレでせつな系の甘甘・・・
甘甘になっているかは不明(笑)
ではA・Sさまに捧げます・・・・どうぞ!(ちょっと長いです)










本当は・・・全部何もかも忘れたかったのかもしれない・・・
嫌なことから逃げ出したかっただけかもしれない・・・
でも、それはお前のことも忘れてしまうことだから・・・
それは・・・嫌だから・・・・
オレは・・・・・







〜EMPTINESS〜





「・・・ぐぅ・・・直撃!?」


その日の戦闘で、クォヴレー・ゴードン少尉は初めて堕とされた。
彼にしては珍しく戦闘中に迷いがみられた・・・だからだろうか?
脱出はしたものの大怪我を負ってしまい、昏睡状態に陥ったのである。
クォヴレーは人より丈夫だ。
それは彼が戦闘用に造られたバルシェムシリーズだからなのだが、
だからといって全く病気にならない訳でもないし、
怪我をしないわけでもない。
人より多少丈夫で病気にかかりにくい、とそんなところ・・・・


そして、何日かぶりに彼は目を開けた。
医務室には、彼がいつも一緒にいるメンバーが心配そうに顔を覗き込んでいた。
メンバーとはいわずと知れた、アラド・ゼオラ・ヴィレッタである。


「・・・・・ここ、は?」

クォヴレーは気だるそうに、力なくそう言葉を発した。

「クォヴレー!!良かった!やっと目ぇ覚ましたんだな!!」
「・・・・・」
「貴方、この前の戦闘で堕とされて昏睡状態だったのよ?」
「・・・・・?」
「・・・ディス・レヴの制御やなんやらで疲れがたまっていたのね・・・
 今はゆっくり休みなさい、クォヴレー」
「・・・クォ・・・ヴ・・・レー・・・?」

虚ろに3人を見渡し、クォヴレーは自分の名を口にする。
そして、

「・・・クォ・・ヴレー・・・オレの・・なま、え・・・」
「・・クォヴレー・・お前大丈夫か?」
「・・・・・・」
「クォヴレー?」
「・・・お前・・・誰、だ?」
「「「!!!!!?」」」

三人は驚いた。
ゼオラはとっさに・・・

「私は?私も分らないの??」
「・・・ゼオ、・・・ラ・・・」
「(ゼオラは分るの?)・・・私は?誰?」
「・・・貴女は・・・確かヴィレッタ・・・大尉でしたね?」
「!?・・・(私のこともかろうじて覚えている!?)」
「オレは!?オレはのことはわかんないのかよ!?クォヴレー!!」
「・・・・・?」

ゼオラ・ヴィレッタのことは分ってもアラドのことは分らない・・・
クォヴレーの記憶はヴィレッタと初めて出会った頃まで後退してしまっていた。







「怪我はもうたいしたことないから部屋に戻っても支障はないよ」
「でも先生、クォヴレー記憶が・・・」
「君や、ヴィレッタ大尉のことは覚えているんだろう?多分記憶の後退は
 一時的なものだよ・・・大怪我したからね、その影響だろう」
「戻るんスか!?クォヴレーの記憶!!」
「・・・絶対・・とは言わないが戻る可能性は大きい・・・さっきも言ったとおり
 怪我の影響だと思うから、ゆっくり休めばおのずと戻ってくると思うよ?」
「そんな無責任な・・・!」
「・・やめなさいアラド。先生を責めてもどうにもならないわ」
「でもヴィレッタさん!」
「・・・お前のことを忘れてしまっていてショックなのは分るけど・・・
 明日になれば思い出すかもしれないわ」
「・・・わかりました(クォヴレー・・・何でだよ・・・なんでオレのこと・・)」






「・・・アラド、本当に2人きりで大丈夫?クォヴレー貴方のこと覚えてないのよ?」

クォヴレーとゼオラ・アラドは三人で通路を歩いている。
もちろん部屋に帰ってクォヴレーを休ませるためだ・・・・
その帰路の途中ゼオラはヒソヒソとアラドに耳打ちをしている。

「大丈夫だって!男同士はそれくらいじゃどうにもなんねーよ!」
「・・・ならいいけど・・・」

ゼオラは不安げにチラリと後からトボトボとついてくる彼を見た。

「?なんだ?ゼオラ・・・」
「・・・なんでもないわ・・・ゆっくり休むのよ?」
「了解だ・・・」
「・・・私も自分の部屋に戻るから・・・何かあったらすぐ来るのよ?」
「・・・わかった・・・」
「大丈夫だって!心配性だなぁ・・相変わらず」
「悪かったわね!!・・・とにかくよろしくね、アラド」
「ああ・・・」


ゼオラと別れ、二人は自分達の部屋へとたどり着いた。

「・・・オレは・・・こっちのベッドでいいのか?」
「ん?ああ・・・そうだよ」
「・・・・・」
「?オレの顔になんか付いてる?」
「・・・すまない」
「へ?何が??」
「・・・お前のことを・・・その・・・忘れてしまって・・」
「!そんなこと・・・・気にすんなよ・・・一時的なものだって言ってたじゃんか!
 すぐに思い出すよ!・・・ほらもう寝ろ!疲れただろ?」
「・・・ああ・・・そうする・・・おやす、み・・アラド?」
「お休みクォヴレー・・・」

ベッドに入ったクォヴレーに近づき、アラドはいつものように
彼の頬にキスをした。
クォヴレーは多少ビックリした顔をしたが、文句は言わなかった。
それどころか・・・

「・・・オレは・・・お前のキスを知っている・・気がする・・・・」
「ん〜?そうだろうなぁ・・・毎日してたもん!」
「え?どうして??」
「ははは・・どうしてだろうなぁ?」

哀しそうに・・・乾いた笑みを浮かべたアラドをみて心が痛んだ。

「・・・!!うっ」
「!!どうした?」
「・・・いや・・・何でも・・・頭が少し痛んだだけ・・だ」
「・・・そっか・・・ほらもう寝ろよ。邪魔して悪かったな・・」
「・・・そんなこと、ない。・・むしろ落ち着いた・・・さっきのキス、で・・・それに」
「それに?」
「なにか大事なことを・・・思い出しかけたような・・・」
「マジで!?」
「ああ・・・・」
「!(そうだ)オレ、お前の記憶取り戻すために一つショック療法試したいんだけど・・・いい?」
「?ああ・・・」

了解の返事を聞くと、そっと触れ合うように口びるをクォヴレーの唇へ・・・

「・・・・・んっ」

唇をはなし、2人の目線はかち合う・・・

「・・・なんか思い出した?」
「・・・特には・・・」
「(はぁ〜)そっかぁ・・・」
「すまない」
「謝んなよ・・・ほらもう寝ろ!」

ドンッといつもの調子で押したらクォヴレーはそのままベッドへひっくり返った。
その拍子でベッドヘッドに頭をぶつけた。

「!!痛っ」
「!!!ご、ごごごごゴメン!!」
「うぅ・・・」
「だ、だだだだ大丈夫か??」
「問題ない・・・」
「ホント??」
「ああ・・・ホントだ」
「ごめんな〜・・んじゃ今度こそお休みな」
「・・・おや、すみ・・・」


まだ何かを言いたそうだったがクォヴレーは眠りに落ちていった。
アラドはタオルケットを持ってくると包まるようにしてそれを羽織った。
そして何があってもいい様にクォヴレーをじっと見守り続ける。
傷が痛むのか?時々うなされていたが・・・それ以外は発熱もしないし問題はないようだ。


そして・・・・真夜中・・・・
何かが頭に触れている感じがして目を覚ますと、クォヴレーが自分の頭を撫でていた。
ビックリしてガバッと身を起こせばいきなり起きたアラドにクォヴレーもまた
ビックリした顔をする。


「・・・起きたのか?アラド・・・一度寝ると朝まで起きないお前が珍しいな」

「(え!?)・・・わかんの?」
「え?」
「オレ、のこと・・・わかんの?」
「ああ・・・お前は、アラド・バランガ・・・追撃され王・・・だろ?」
「!!!思い出したのか!?」

どこか悲しげに微笑み、コクンと頷いた。

「・・・どうやらさっき頭を打ったのが効いたようだ・・・」

アラドは勢いよく抱きついた。
その拍子でベッドに押し倒してしまう。

「クォヴレー・・クォヴレー・・・良かった・・・オレのこと思いだしてくれて」
「そうだな・・・オレもよかった・・・お前を思い出せて・・・」
「クォヴレー・・・」
「・・・オレは・・・本当は何もかも忘れたかったんだ・・・思い出したくなかった」
「・・・へ?・・(何ですと?)」
「・・・バルシェム・・・イングラム・・・アストラナガン・・・沢山のことに
 押しつぶされそうだった・・・・急に不安になった・・・」
「・・・・・」
「それでもオレはなんでもないフリをする・・・オレは・・・人間じゃないから・・・」
「!!!!・・・っ」
「人間じゃないから、人間のように悩んだりしてはいけない・・・本当は誰かに愛されたりしてもいけない・・」
「・・・・!」
「愛してもいけない・・・そんな事を考えていたら戦闘に集中できなかった・・・」
「・・・・・」
「・・・・忘れたいと思った・・・何もかも・・・」
「・・・オレのことも?」
「アラドのこと、も・・・忘れなければ・・・と」
「何で?」
「オレは・・・アラドとは違うから・・・このままの関係を続けていたら・・・いつか・・・アラドに」
「オレとは違うって・・・なんだよ!?」
「・・・アラドは・・・人間だから・・・いつかオレが疎ましくなる時が来る」
「!?」
「だから自分が傷つく前に・・・忘れたいと・・・願った・・だから忘れた・・」


いつもは痛いくないに見つめながら話をする彼が、今は一度もアラドと目を合わせない。


「・・・クォヴレー・・・目ぇ・・・閉じろ・・」
「?目?」
「いいから・・」
「あ、ああ・・・」

言われたとおり目を閉じた。
すると次の瞬間部屋中に乾いた音が響いた。





パシンッ




「お前・・オレをバカにしてんのかよ!?」
「・・・アラ、ド・・・」


張られた頬をおさえ、戸惑いの瞳で、けれども真っ直ぐにアラドを見つめる。

「純粋な人じゃない・・・造られた存在・・・その程度でオレの気持ちが変わるって言うのかよ!?」
「・・・・」
「お前オレの気持ちを信用してないわけ!?オレは人間だからクォヴレーが好きなんじゃなくて、
 クォヴレーだからクォヴレーが好きなんだぜ!?」
「!!!・・・アラド」
「でも今のでよく分った・・・結局お前のオレへの思いはその程度ってことだよな?」
「アラド・・・」
「・・・なんだか・・・悲しいし・・・悔しいなオレ・・・」
「・・・アラド・・・でも・・・忘れたくなかったんだ・・・本当は・・・」
「・・・・」
「だから思い出した・・・思い出すことが出来たんだと思う・・・
 例えお前に嫌われても・・・お前を忘れるのは・・・嫌だから・・・
 もう二度と記憶を失くすのは嫌だから・・・忘れたくなかったんだ・・・本当は」
「クォヴレー・・・」
「・・・オレは・・・臆病だったんだ・・・嫌われるのも、失うのも怖い・・・
 傷つきたくない・・・・それなら最初から知らなかったことにすればいい、と
 アラドを忘れた・・・でも出来なかった・・・・本当は忘れたくなんかないから」
「・・・臆病なのはオレだって・・・そうだぜ?傷つくのも怖いし・・・」
「・・・アラドは人間だからそれが当然だろう・・・でも・・オレは」
「クォヴレーも人間だよ!試験管Babyと同じだって!」
「・・・・そうだろうか?試験管Babyは母親から生まれるが?」
「同じだって!母親からだろうが機械からだろうが生まれてしまえば同じなの!」
「でもオレは・・・クローンだ・・・たった一人の唯一無二ではない」
「だ〜か〜ら〜!それが何!?そんな事言ったらプルツーだってプルのクローンだぜ?」
「!?そうなのか??双子じゃないのか??」
「表向きは、な・・・でも今のは事実だぜ・・・」
「・・・・クローン・・・プルツーが・・・」
「お前より年下の、しかも女の子がしっかりと前向きに生きてるんだぜ?
 お前・・・恥ずかしくないのかよ?」
「・・・・恥ずかしい、な」
「・・・・で、お前はどうしたいの?これから」
「・・・いいのか?」
「?何が??」
「お前・・・こんなオレでもいいのか?後悔しないのか?まだオレが好き、か?」
「・・・また殴られたいわけ?後悔なんてしねーし、今のクォヴレーで大満足だし、大好きだよ!」
「・・・本当に?」
「殴られたいのか?・・・本当だよ」
「・・・アラド・・・・」
「クォヴレー・・・」
「すまない・・・オレ、は・・・」
「もういいって!人間だから悩むんだよ・・・それでいいじゃんか!」
「人間・・・だから?・・・オレは・・・人間?」
「そ!人間!!オレもクォヴレーも・・・同じ人間・・・だろ?」
「ああ・・・そうだな・・・すまなかった、アラド弱気になって」
「だからもう気にすんなって!」
「それに・・・お前のこと・・・一時的とはいえ忘れてしまった・・・」
「うっ・・・まぁ・・・そのことはもう横に置くことにしようぜ!
 思いだしたんだから良しってことで!オレが好きすぎて忘れたいと思ったんだろ?」
「・・・そうだ・・・好きだから失いたくなかった」
「その答えでおつりがくるよ!」
「・・・アラド」
「・・・まだなんかあんのか?」
「・・・ほしい」
「??何が??」
「・・・ド、が」
「???何??」
「アラドが欲しい」
「へ?なに言ってんだよ今更・・・オレはもうお前のもんだろ?お前もオレのだし・・・・違うの??」


まだアラドが上にのしかかっている状態だったが・・・クォヴレーは勢いよく
天地を逆に翻した。
そう、クォヴレーが今度は馬乗りの状態になったのである。

「???クォヴレーさん??」
「アラドが欲しい・・・」
「(欲しいってこういう意味か!)」
「・・・いいか?」
「・・・いい、けど・・・あの〜・・・逆じゃない?」
「・・・たまには逆も・・・いいだろ?」
「へ?」
「・・・嫌なのか?」
「あ・・・いや・・・(オレが受けんの??)」
「アラド・・・」
「あ・・・その・・・痛くしないで・・・下さい?」

その突拍子のない言葉にフッと微笑むと、

「大丈夫だ・・・最高に気持ちよくしてやる・・・」















ベッドが2人ぶんの重さでギシギシと音を立てている。
時はまだ真夜中・・・・
情事にはうってつけのお時間・・・・
二人には獣ように交じり合った・・・・


「・・・っ・・あっ・・・あっ・・・ふぅ・・・」

クォヴレーはアラドの上でリズミカルに腰を振っている。
アラドもまたその動きにあわせ腰を振る。


「ぁあ!!・・・くぅ・・・アラ、ド」
「・・・ん?な、に・・・?」
「気も・・・ち・・いい?・・・はぁ・・・あっ」
「ああ・・・お前の予告どおり最高に気持ち良い・・・」

クォヴレーの汗がアラドの身体に落ちる。

「・・あー・・んぅ・・・」
「クォヴレー・・・(この体勢・・・マジ気持ちいいんですけど?これが噂の騎乗位か・・
 奥まで飲み込んでくれて・・・癖になりそう・・・)」
「あっ・・・アラド!・・・うっ」

宇宙にいるため電気の消えた部屋は漆黒のようであるが
目は暗闇になれ互いの顔も何とか分る。
しかしその漆黒の中でもクォヴレーの銀の髪は光を失わず輝いている。
サラサラと、光っては消え光っては消えと波打つ髪を見つめているとアラドは急に物悲しくなった・・・
それはこれからのクォヴレーを示しているようで・・・・いつか消えてしまうのでは?と・・

「アラ、ド・・アラ・・・え!?」


その瞬間、上に乗っているクォヴレーの腕を引っ張り今度は自分が馬乗りになると
力いっぱい抱きしめた・・・・


「!!!アラ、ド?苦しい・・・どうしたんだ??急、に・・・」
「・・・・・から・・・」
「え?」
「お前がなんか消えそうだったから・・・・悲しくなった」
「!!アラド・・・」
「・・・何処にも行くなよ?何があっても・・・ずっと・・」
「アラド・・・・」

背中に手を回し今度はクォヴレーがおもいっきりアラドを抱きしめる。

「もう・・・オレのこと・・・忘れないでくれよ?」
「アラド・・・大丈夫だ・・・もう二度と忘れたりしない・・・・
 消えたりもしない・・・・ずっと一緒だ・・・・」
「・・・約束だぞ」
「約束、だ」
「クォヴレー・・・好きだ」
「オレも・・・好きだ・・・アラド?」
「何?」
「・・・続き・・・しないのか?(////)そろそろ限界なんだが・・・?」
「う(////)・・・オレも・・・・」




そして絶頂を迎えるべく二人は更に深く交じり合った・・・・




コトが終わったあと・・・アラドはクォヴレーを抱きしめながら眠りについた・・
クォヴレーはどこか悲しげな表情で身体をアラドに預ける・・・


「(ずっと・・・一緒だアラド・・・・少なくともこの戦争が終わるまでは・・・)」


アラドはスヤスヤ深い眠りに落ちていく・・・

「むにゃむにゃ・・・好きだぜ〜・・・クォヴ・・・むにゃ・・・」

「・・・(寝言か・・・・ありがとうアラド・・・オレを選んでくれて・・・
 いつか離れなくてはならない時がきてもおれは必ずお前のもとに帰ってくる・・・だから・・・・)」

アラドの額にキスをするとクォヴレーも深い眠りに落ちていく・・・・







本当は・・・全部何もかも忘れたかったのかもしれない・・・
嫌なことから逃げ出したかった・・・
でも、それはお前のことも忘れてしまうことだから・・・
それは・・・嫌だから・・・・
オレは・・・・・きっとなにがあってもお前を忘れず・・・
お前のもとに戻ってくる・・・・
だからオレを忘れにず待っていて・・・・オレに大切なことを教えてくれた愛しい人・・・・



ただ切ないだけの話になっている気が・・・(汗) 申し訳ないです。 もう一度チャンスをいただけるならば甘甘を次は作ります。 ちなみに題の「EMPTINESS」は空虚です。 意味は虚しいとかそんな感じ・・・
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